「離しなさい、このっ……!」 魔界にある、とある地下室。 全身に絡みつく触手にどうにか抵抗すべく、悪滅師‘青月昌子’がもがいている。 昌子は‘悪しきもの’との戦いで不覚を取り、引きずり込まれてしまったのだ。 「くっ……あの子がいれば、こんなことにはっ……」 脳裏をよぎるのは、頼れる相棒――‘芦屋ミチル’。 ちょっとした意見の衝突をきっかけに単独行動し、そして失踪したOOだ。 あの子さえいれば、こんな触手なんて……! 昌子が内心で嘆いたとき、地下室に1人のOOが入ってきた。 「お久しぶりでぇす、昌子さん♪」 「ミチルっ……!? あなた、どうしてここにっ……」 それは、失踪したはずのミチルだった。 昌子は助かったとばかりにミチルに声をかける。 しかしミチルは、可愛らしくもどこか薄ら寒い笑みを浮かべるばかりだ。 「くくく、無駄だぞ。その娘はすでに俺の虜よ」 「っ!? 貴様、何者だっ!」 いつの間にかそこに存在していた、異形と言うべき姿――悪しきもの。 異形は、触手に絡みつかれた昌子を見下ろし、いやらしいと笑みを浮かべていた。 「俺の名前はギニョル」 「触手の王であるニョルヒム様にも認められた、超一流の触手ブリーダーだ」
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